住まいによって、暮らしや家族関係が変わる

2011.09.30

設計した住まいで、こんな例がありました。夫妻に3歳と1歳になる男の子がいる4人家族でしたが、お母さんの相談は、現在の住まいはキッチンが独立型でリビングルームが離れているため、家族が何をしているか殆ど分からず、また会話もキッチンに行くたびに途切れてしまい、ストレスが溜まってしまうということでした。子どもが小さいことを踏まえ、今度の住まいでは、キッチンで料理をしている位置から子どもの様子が全て見え、家族の会話にも参加できようにしたいというご希望でした。最終的に決まった案では、中庭を囲むL形にダイニングとビングルームを構成し、その角にキッチンを配置し、料理をしていても、子どもが中庭やリビグルームでどんな遊びをしているか、全て視角の中に入るよう工夫しました。結果、見違えるように家族がのびのびし、会話の時間も以前と較べ大きく増えたということです。1日ではさほどの差はないにしても、1週間、1ヵ月単位で見ると、会話の時間にしても、大きく差が出てきます。従来型の、廊下があって両側に個室が並び、壁とドアで仕切られたLDK型式の、生活動線があまり交わらない、いわゆるホテルタイプの間取りでは、行動心理学的にも、家族との接触を避けようとする傾向が住人に生じることが、明らかにされています。個性化時代といわれ、時代はさまざまなライフスタイルやファッションを生みながら、こと住まいの中での暮らしは驚くほど没個性で、住意識も希薄です。もっと強烈に個性か打ち出されても、よいのではないでしょうか。この現実は、住まいによって、暮らしや家族関係が変わるということに気がついていないせいもあります。

[参考]
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