石の格子

2011.11.18

三分の一のヒースを抜き取る方法で組構造を透明化できるめどがついたところで、より透明な石の壁に挑戦してみたくなった。「石で格子みたいなものが、できないかなあ……」とまず、小声でNさん達につぶやいてみた。小声にしたのは、正直、まるで自信がなかったからである。格子といえば木や金属で作るのがあたりまえで、石で格子などというディテールは、今までどこでも見たことがなかったからである。「冗談いっちゃ困りますよ……」みたいな冷たい声色が返ってきたら、すぐ提案をひっこめようと思っていた。

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ところが、予想に反し「わけないよ」という明るい返事が、すぐさま返ってきたのである。石はどのくらいの太さで、どの長さに切るのが適当か。石の実物を前にして、みなで議論した。ちゃんとした図面を作ってから、「このディテールでできますか」とあらたまって聞くと、時間はかかるし、聞かれる方も構えてしまって、創造的な議論にはならない。顔と顔をつき合わせて、目の前のメモ用紙に、ちびた鉛筆で、お互いにスケッチを描き重ねるスタイルが、実は一番効率的なのである。その結果たどりついたのは、四センチ×一五センチの断面形状で、長さが五メートルの棒状の石で格子を作るという結論だった。その寸法ならば、鉄板のサポートをいれなくても、石だけで、木の格子のように軽やかなものが作れそうなのである。「じゃあ、今、それ作ってみよう」。さっそく、Nさん達は工場といっても実はSさんの自宅の庭なのだがモックアップの製作にとりかかった。