多くの業者はこの制度の施行前から斜面のある住宅地の買占めに走っていた。日本は山がちの国で、都市でも傾斜地が多い。業者にとっては、傾斜地は一夜にして宝の山に化けた。用途地域で一番厳しい規制のかかっている第一種低層住居専用地域では、高さ制限が一〇メートルで、業者がどんなにがんばっても三階以上のマンションは建たない。ところが、地下室不算入制度が導入されたとたんに、東京、横浜、干葉、大阪、福岡など全国の都市にある第一種低層住居専用地域で、三階建てだが裏から見ると四階、五階、なかには九階という奇妙なマンションが一斉に建ち始めた。
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これが、「良好な市街地環境を確保しつつ、ゆとりある住宅の供給を図る」はずだった、地下室不算入制度が引き起こした現実である。この制度の施行にあたって、建設省住宅局長は全国の知事あてにつぎのような通達を送っていた。「住宅の地階に係る容積率制限の不算入措置に付いて、1.対象となる住宅の範囲に付いて一戸建の住宅のほか長屋及び共同住宅を含むものであること、2.住宅の用途に供する部分について住宅の居室のほか、物置、浴室、便所、廊下、階段等の部分などを含む……」偽善もここまでくると見事というしかない。初めから住宅地におけるマンションの乱立は折込済みであったのだ。