たとえばダムエ事のことを考えてみるとよい。日本の水力発電地点の開発はもうかなり終ったという話がある。有望なダム建設地点はそう残っていないというのである。しかしダム協会などの話によると事実はそうでもないので、工業・農業用水・治水などをふくめてダムの必要はまだまだ多い。戦後建設されたダムは約420ある。1年に大体40個位建設されており、関係業者は1社平均1年に2つか3つ位受注している。それにしてもこの個数は一般の製造工業の作る製品の個数にくらべれば問題にならないほど少ない。
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そのかわり1つ1つは大きく、工事にとりかかれば3年や4年は仕事がつづく。こういう少数大単位の工事宍要は建設業にとってみれば一面きわめて不安定なものである。工事をとればまず当面安心である。しかしとれなかったら大幅な生産規模の縮小を味わうことにならざるを得ない。だから生産者である建設業にとって以上のような性質の需要は次のような意味をもっている。まず生産現場があちこちに分散しており、移動せざるを得ないことだ。次に作るものがほとんど1つ1つちがっている。現場の地理条件や気象条件は一定しない。生産過程は断続的で、しかも量的に変動がはげしい。建設需要はこのようにして、私的な集約がきわめて困難である。